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腸内細菌と肥満の関係性

コラムをご覧いただきありがとうございます。
Dr.トレーニングサプリメント開発担当の豊田浩史です。
私は日本人の多くが予防にお金をかけず、治療にお金をかけることに強い疑問を持っております。
つまり、薬に頼りすぎているということです。
病気は外的要因などありますが、根本は普段の栄養摂取が大きく関係しています。
また、現在主流の西洋医学は現代人に栄養失調はないと決めつけている傾向があります。
このような流れを変えたいと思い、現在トレーニング指導やサプリメント開発に携わっています。
少し難しい内容もあると思いますが、健康のまま人生を全うしたい人は是非ご覧いただけたら幸いです。

今回は「腸内細菌と肥満の関係性」について解説していきます。
ダイエットをするとなると食事制限をすると思います。
しかし、同じ食事制限をしていても効果がでる人とあまりでない人に分かれると思います。
そのような時に効果がでない人は食事制限をより厳しくするか、運動量を上げます。
しかし、これでは代謝が下がる一方でいつか行き詰まることになります。そのような時は、腸内環境の違いも視野に入れるべきなのではないかという考えが近年論じられています。
今回の内容を読むことによって、ダイエットを行う時の選択肢を広げることができると思います。

腸内細菌によって体型が決まる?

アフリカの地域の人たちは、西洋人に多い肥満体型の人はあまり見受けられません。
そこで、西洋人とアフリカのサハラ砂漠以南の地域の子供たちの腸内細菌を比較する研究が行われました。

2010年のハーバード大学の研究では、アフリカの村に住む子供達の腸内細菌を調べ、食生活が腸内細菌に与える影響を調べました。(※1)
結果は、アフリカ人はバクテロイデス門の比率が多く、短鎖脂肪酸の量も3倍近く多いことがわかりました。

結果だけ聞いても「何のこっちゃ!」だと思うのでここから詳しく解説していきます。

バクテロイデス門とフィルミクテス門

腸内細菌はこのバクテロイデス門とフィルミテクス門が約90%以上を占めます。
腸内細菌界での二大勢力とも言い表せますね。

この2つの細菌比率が炎症や肥満と相関関係があるとされています。
肥満になりにくく炎症レベルが低い人の腸内環境ではバクテロイデス門が多いとされています。
つまり、アフリカ人の腸内環境は太りにくい状態だと言えます。
逆に西洋人の平均的な腸内環境は炎症レベルが高く、太りやすい状態になっています。

この研究を応用すると、西洋文化が浸透している現代人はアフリカ人の食事を取り入れることで痩せやすい腸内環境をつくることができると考えられます。
ではアフリカの人々はどのような食事をしていたのでしょう。

その前に短鎖脂肪酸の説明を忘れてはいけません。
短鎖脂肪酸は腸内細菌が作り出す酪酸や酢酸などの脂肪酸です
この脂肪酸は体内のエネルギーの指標にもなり、エネルギーの恒常性にも関わります。

特に注目されているのがGPR43の働きです。
ここでは詳しくは触れませんが、このGPR43は脂肪酸の受容体であり、この受容体が活性化すると肥満を防ぐことが分かっています。
短鎖脂肪酸があるとGPR43が認識して活性化します。

太りにくい腸内環境を整える食事

結論から述べると食物繊維が多い食事を摂取することによって、上記でも説明したアフリカ人の理想的な腸内環境を形成することができます。

このようなことから、ダイエットに限らず食物繊維を多く含む食事をするだけでも太りにくい体にすることができることが考えられます。
特に腸内細菌の餌として優秀なのは「イヌリン(フラクトリゴ糖)」です。 この食物繊維は玉ねぎやゴボウに多く含まれます。
サプリメントもとても安価に購入できます。

イヌリンによって増えたビフィズス菌がプロピオン酸や酪酸などの短鎖脂肪酸の産生能を高めることも報告されています。(※2)

現代人がそのままアフリカ人の食生活を真似するのは現実的に考えて不可能なので、いいとこ取りをするのがよいでしょう。
逆に、アフリカ人のような原始的な食事がベストというわけでもありません。
彼の腸内環境は良いかもしれませんが、低タンパクや低ビタミン・ミネラルにも陥りやすいので完全に真似するのも危険です。

また、断食をすると短鎖脂肪酸は減少して太りやすくなります。
このような観点からも、筆者は特別な理由がない限りの数日続く断食はお勧めしません。
最近ダイエットが上手くいってない人は腸内環境も視野に入れてみてください!

参考文献

(※1)C. De Filippo, et al., “Impact of Diet in Shaping Gut Microbiota Revealed by a Comparative Study in Children from Europe and Rural Africa,” Proc Natl Acad Sci USA 107, no. 33 (August 17, 2010): 14691-6. doi: 10.1073/pnas.1005963107.
(※2)de Wiele TV, Boon N, Possemiers S, Jacobs H, Verstraete W. Prebiotic effects of chicory inulin in the simulator of the human intestinal microbial ecosystem. FEMS Microbiol Ecol. 2004 Dec 27;51(1):143-53. doi: 10.1016/j.femsec.2004.07.014. PMID: 16329863.

 

保有資格
・ADIDAS FUNCTIONAL TRAINER

[監修] 株式会社Drトレーニング代表取締役  山口元紀
保有資格
・BOC ATC (全米アスレティックトレーナーズ協会認定トレーナー) ・NASM-PES (全米スポーツ医学協会認定パフォーマンス向上スペシャリスト)
・PRI Myokinematic Restoration ・PRI Plelvic Restoration
・IASTM
・NKT
・SFMA
・BTS ・保健体育科教員免許 経歴
・元レッドソックス アスレティックトレーナー
・FUBIC 外部取締役
・ミス・ワールドジャパン公式トレーナー

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